【テーマ別説明会】警察庁

昨日、東大本郷キャンパス周辺の喫茶店で、警察庁のテーマ別説明会が開かれた。
テーマは「外事警察」。
説明してくださった方は、外事課課長補佐 丸山 潤様。

説明会の流れは従来どおりのものであり、まず、丸山様のキャリアパスの説明があり、
その後、テーマに即した彼の今の仕事内容についての説明があった。

キャリアパスの説明では、県警課長、他省庁派遣時の話が印象に残っている。
キャリアパスの説明後に、三点質問させていただいた。
?法律適用と適用対象の心情問題とのハザマに立たされ、法解釈等などを利用したことがあるかどうか。
?警察の捜査において、世論の動向はどの程度反映するのか。
?ある事件に遭遇したとき、どの情報をどのタイミングで上に挙げるのか等の判断スキルはどのように鍛えるのか。

?は、丸山補佐が県警課長として山梨県に勤務されている時の話に基づいて質問させていただいた。
回答は、法解釈はあまり使われることはないとのこと。むしろ、目的規制等がないために使用できない法律などの改正が行われるとのこと。やはり、警察は、「法と証拠に基づいて」という大原則の下に動いているらしい。「公正・公平」のためには、仕方がないかもしれない。

?は、拉致問題の話にちなんで話させていただいた。87年代から拉致被害について認識していた警察庁が粛々と捜査を続けていたことが、02年の拉致問題の解決に向けた大きな動きとなったのか、それとも、世論の大きな流れが、解決にむけた動きとなったのかをお伺いした。
回答は、当然粛々と捜査を続けていたことが解決につながったとのことで、そもそも世論の動向というのは捜査にあまり支障もきたさないらしい。

?は、仮に入庁したとして、将来の仕事に一抹の不安を覚え、お伺いした。
回答は、「少し背伸びした」仕事を与えられる警察庁において、日々「心構え」をしっかりしながら取り組めば、おのずとそのような判断力はつくものだ、というものであった。

他の方の質問で、印象的なのは、情報に対しての取り扱いの姿勢についてである。
民間が一番、守るべき情報をしっかりと守るということを徹底しており、防衛省などのデータ流出事件というのは論外である。警察庁はわりかし、早い時期から守るべき情報をしっかり守るという認識はあったらしい。

また、「大きく構えて、小さくまとめる」という警察庁の極意も教わった。
例えば、事故が起こったとき、とりあえず、100人ぐらい導入し、負傷者等の規模により、結果的に5人ほどに絞る、というものである。まず5人ほどおくり、足りなさそうだということでまた5人送るといった方法では有効性に欠けるらしい。
このようなことは、実務に携わりながら学んでいくものだと思うが、より多く教わりたいと思った。

次に、CI(カウンター・インテリジェンス)についての話しがあった。
警察庁では、警備局の外事情報部がこれの所轄である。
警察庁というのは、刑事の仕事とインテリジェンスの仕事という二本柱がある。
今まで刑事を中心に警察庁を見ていた僕にとって、今回の話は改めて、警察庁の業務及び責任の大きさについて考えさせられた。
ちなみに、刑事局は自己の欲求(金銭欲・性欲等)がもとになりおこされた犯罪をとりしまるのに対し、
警備局(公安課)は思想・信条に関する事件に対する取締りを行う部局であるとの説明があった。
今更ながら、なるほど、と思ってしまった(笑)
主義・主張はどれだけ自由にやってもかまわないが、やはりそれに暴力が伴うと取締りの対象になる。

外事情報部では、三つの事項を取り扱っている。
カウンターインテリジェンスカウンターテロ、カウンタープロライフレイションである。

最後に、スパイ防止法の日本国内成立の是非についてのお話があった。
個人的には、産業スパイ等が確実に増えてきている現在、早急に成立させなければ行けないと思う。
過去の過ちは、それを踏まえれば、最良の道しるべとなるはずである。

今後も、警察庁の「国家治安の安定」という根底あるミッションのもと多種多様な仕事内容を、
多角的な視野を持ち、理解していきたいと思った。