国会議員定年制、児童虐待について

○国会議員定年制について。2月24日の記事に玉城英彦北海道大教授(予防医学)が、「高齢者の被選挙権を奪うな」という主旨の投稿をなされていました。小泉元首相が中曽根元首相や宮沢元首相に政界からの辞退を促して以来、高齢の政治家という観点には少し興味を持っていました。少し前には自民党青木幹雄議員の夏の参院選における公認問題がメディアで取り上げられていました。確かに、高齢者になると、(極端に初当選時の年齢が高い場合を除き、)その分影響力を持ち、権力を掌握しやすくなる、やもすると、癒着が生まれ易くなる可能性もあるという弊害もあるかもしれません。しかし、それらは本来我々選挙民により淘汰されるべきであり、若手は若手にしか出来ないアピールがある以上、上記のように高齢者の政治家は国政において弊害を生みかねないとしても、それは偶然起こりうるものであり、制度によって排除する事項ではないように思う。(この点、二世議員の議論にも同様のことが言えると思う。)本投稿記事においては、玉城教授は高齢者の能力・性質を評価したうえで、国会議員定年制について否定している。流石は、予防医学の教授。

児童虐待について。2月28日の記事に、山田不二子さんが子どもの虐待防止に取り組む医師として紹介されていた。記事の一部紹介する。
虐待に対する社会の受け止め方についての質問で、「残念ながら日本には、虐待は犯罪だというコンセンサスがない。もちろん、普通の犯罪とは違い、加害者へのケアや支援が必要ですし、警察は検察にはすべてのケースが起訴できるわけでないことは知ってもらいたい。しかし、社会正義に照らしたら、やはり虐待は犯罪ですよ。だから、捜査・証拠保全の力のある警察や検察に最初からかかわってもらい、何が起きたのかをきちんと検証しないといけない。」と述べ、さらに具体的な連携方法について聞かれ、「例えば、米国では、虐待の通報が入るセンターがあり、対応が必要な場合は福祉、捜査、医療の専門家がすぐに集められ、チームで個別ケースにあたる態勢を作ります。その中には、子どもから虐待の事実を聞く技術を身に付けた司法面接師という専門職がいて、捜査、福祉措置に必要な情報はいっぺんに聞くようにします。」「日本はとてもそこまで達していない。通報を受ける窓口には専門性が必要ですから、米国のようにセンター化することが望ましい。でも、現実は市町村に拡散させてしまっています。現場の警察官や検察官は、個人的には子どもへの面接手法や医療、福祉などの人たちとの連携に関心を持ち、勉強している人もいます。でも、組織に属している以上、他機関の専門職と捜査情報を勝手に共有することなんてできないんです。できるようにするためには、国を挙げてこの問題に取り組むという、上からの体制づくりが必要です。」
 以上略しながらも抜粋したが、ポイントは、犯罪だという認識を共有し、捜査、医療、福祉、教育の連携を図れるような環境作りの必要性を訴えていることだと思う。これは非常に納得な話で、犯罪だからといって、警察にだけ任せるというわけにはいかない。現場の警察官が必要としている制度、またその運用方法、ツールなどは、警察庁の人間も把握しているはずである。確かに、警察は規制的側面もあるため政治的中立性がとくに要求される。しかし、本問題のような場合、政治主導で他の省庁との連携が取れるような仕組みになっていってもよいのではないかと思う。ただ、このようなケースは、総論賛成・各論反対となりやすい典型例であろう。虐待防止に対する国民の声が挙げるのを待つしかないのか・・・。