生き方

先日、ある食事会が催された。
そのときに感じた違和感が未だに払拭できず、考えたがはやりおかしいと思う。
久々の更新でもあり、他にもここに書くべきことがあるのだが、まずはこれを。

状況としては、先輩がある頼み事を彼にした。
その頼み事は僕の目からして、決して難しいことではなく、また彼のためにも、彼が所属している組織のためにも良いものである。
また、彼はその組織、ないしは所属する人にはお世話にはなっている。
そのような状況下で、頼み事をされた彼は、「『やります。』と言うと、できなかったときに口先だけと思われるから、やりますとは言えません。」と言ったのだ。

この文言を僕が始めて聞いたのは、彼が二年生のとき。
そのときも不快感を覚えたのだが、今回は先輩に対しての発言であり、失望を覚えた。

ここでは、二点僕は問題だと思う。
僕と彼は当然ながら性格が違う以上、一点目については、彼が納得しなくてもかまわない。
しかし、二点目についてはしっかりと考えて見てほしい。

・一点目
 積極性の欠如。なぜ、そこまで身の保身を考えるのであろうか?
確かに、何の確信も、考えもなく、口軽く、やり遂げますと頻繁に言っていれば信用も失うだろう。しかし、それを恐れ、「やらない」という選択肢を選ぶというのは、自ら自らを鍛えることを放棄しているようにしか見えない。つまり、できるかどうかはわからないにしろ、「とりあえずやってみる」という姿勢が非常に大切ではないだろうか。結局できなかったとしても(やり遂げられなかったとしても)、その過程において真摯に取り組めば、本人も納得できるだろうし、周りも協力を惜しまないはずである。
・二点目
 相手への信頼の欠如。確かに、成果を出さねば認められないときもある。だが、そのようなことばかりではない。(個人的には、成果よりも過程を重視するケースに多く遭遇した。)今回もそうであろう。
物事を始める際に、もっとも大切なのは、「空気」を作り出すことであろう。「空気」を作り出し、皆をうまく巻き込み、それに継続性を持たせる。この過程において、最初に「空気」を作り上げれば、たいてい物事はうまくいくのだ。
 脱線したが、ポイントとしては、今回、先輩は決してやり遂げることまで要求はしていなかった。このような企画をやり出しますよ〜という空気を組織内に作り出してくれればそれでよかったのである。また、重大な問題が一つある。彼は、当該先輩がもし、彼がやり遂げられなかったとしたら、執拗にそれを攻めるとでも思ったのだろうか。その先輩は決してそのような理不尽な方ではない。彼が冒頭で述べたような文言をその先輩に言ったのは、その先輩に対して非常に失礼であると、僕は思う。

「口の利き方に気をつけろ」という文句はあるが、本当にそのように思う。
彼も悪意があって、そのように言ったのではないと思うが、社会に出て、このような文言を使えば、彼に対する期待や愛情は皆無になるであろう。

 最後に一つ、理不尽さと信頼関係についても言及しておきたい。
 登山とは精神力が培われるスポーツである。一度登れば、つらくても踏ん張って、一歩一歩歩くしかない。その際に、自分を奮い立たせることができるのは、自分だけである。個人的には最近は登山に楽しみを追求しようという姿勢が生まれている。つらいときには登らず、登りたいところにだけ登るのである。この点に関し、僕はまったくもって後輩に甘えているのであろう。しかし、自分には、三年間これだけ頑張ったという自負がある。先輩が「俺はこれだけ今まで頑張ったのだから、そろそろ好きにさせろ。後輩をまとめてしっかり山行しろ。」というのは、確かに理不尽なものであろう。
だが、後輩たちには、ぜひその理不尽さを乗り越えてほしい、と切に思う。「理不尽さ」はイキなものである。「理不尽さ」に耐えることなく、すぐに皮肉などを口にするのは、野暮であろう。俺がいつまでも引っ張っていくわけにはいかない。彼らには、この一年間で目を見張るくらいの主体性は生まれた。今度は「自分が引っ張っていく」という気概を持ち、臨んでほしい。 
 考え方は色々あるが、人間同士として接してよいときと先輩・後輩として接せねばならないときもある。僕自身もOBに怒られることが未だにあるが、そのときは黙っている。中にはしまったと思うときもあれば、なぜ怒られたのか分からないときもある。だが、やはりOBも理不尽だと感じたのか、後で必ずフォローしてくれる。この付き合いは、先輩・後輩の付き合いだろう。そのような時ほど、良い先輩を持ったと思う。先輩ははやり先輩である。先に生まれてきている以上、どう逆立ちしても勝てない。(例外もいるが。)先輩に何か言われ、言い返したいときもあるだろうが、そこはぐっと我慢して耐え忍ぶ勇気が大きな力となると、僕は思う。先輩もその後輩の姿を見て、さらに信頼を深めるであろう。
 火急の用が生まれ、会社に召集され、開口一番、「タクシーで来たので、お金を下さい」などというような下らないサラリーマンにはなって欲しくない。誤解を生みたくはないが、お金は必要である。しかし、そのようなことは言わなくても、先輩から好まれていれば、ケアーしてくれるはずである。
 どうか、広い視野を持つように。