政策コンペ、情報通信コンテンツ省について

○官僚に政策コンペ。「枝野行政刷新相は、霞が関の全職員を対象に魅力ある政策提案を募る「政策コンペ」を近く実施する。若手、中堅官僚が内々に温めているアイデアを引き出す狙い。公募は3月中にも始める。発案した枝野氏と仙谷国家戦略相を中心に提案を審査。最終審査は公開で行い、提案した官僚が直接説明する。政策効果が高いと判断されれば、2011年度予算案に盛り込むことも検討する。」(3月4日6面)
 官僚は、良くも悪くも組織の人間である。行政は、その組織に一体性を持たせるために法律上、制度上、運営上も工夫をしている。官僚個人個人には高い専門性が求められるが、その専門性は組織の中で培われるものであろう。確かに、ICTなど若手のほうがより日常的な分野でありそのような意味において、若手のほうがより斬新かつ有益な意見が出せる分野があるのも事実であろう。しかし、それら若手の意見は、あくまで「若手」の意見であり、若手も上司やベテランと議論を行い、また上司やベテランに審査をしてもらえることを前提に出す意見であろう。また、政治判断で政治家が個人としての官僚の政策効果を高いと判断し予算案に盛り込むことは、責任の明確性に欠けるのではないだろうか。つまり、行政官が選択肢をそろえ政治家が判断する場合、政治家が最終決定者といえ、政治主導にはつながるとは思う。しかし、個人の官僚の政策を盛り込むのは、行政と立法との均衡にも触れるのではないだろうか。政策で評価されるとは言え、猟官運動につながりかねない危険性はある。官僚は一義的にはあくまで組織の人間であるべきであるという点、政治と行政の関係のバランスを危うくしかねないという点で、このコンペには懐疑的である。

○「経済同友会は3日、ICT(情報通信技術)産業に関連する行政分野を一元化し、「情報通信コンテンツ省」を創設するべきだとする提言をまとめた。ICT産業の国際競争力の強化や、効率的な行政システムの実現のために必要と主張。提言は、省庁間や国・地方間でバラバラにICT行政が進められていることが、電子行政や産業創出の遅れにつながっていると指摘。」(同上)
  指摘されている点については、まったく同感である。以前本ブログでも、ICTの利活用に対し他国と比べ遅れが見られ、その克服に他省庁の協力が得られているのであろうか、と指摘した。その点、一括で行う機関があるのは有意義であろう。しかし、それが行政で行われている限り、いつまでも政治主導が行われないであろう。各省庁が行っている政策の効率性の向上を図るのは政治においてである。(っというか、同友会、新たな省庁を作り、何かしらパワーを保持したいと考えているだけではないのか!?)